桜の開花宣言が待ち遠しい季節となりました。

 本日、聖和学園短期大学に、一九五名の皆さんをお迎えできたことを嬉しく思います。ご入学おめでとうございます。また、保護者の皆様には、感謝とお祝いを申し上げます。

 コロナウイルス感染症も、「五類感染症」に移行し、ここに、ご来賓の皆様、並びに保護者の皆様をお迎えしての入学式を挙行できますことは、私ども教職員にとりまして、この上ない喜びであります。

 これまで皆さんが過ごしてきた中学生や高校生時代には、何かと困難や制約があったことと思われます。今後は、皆さんや教職員が細心の注意を払いながらも、様々な活動や学生生活を充実してほしいものです。

 さて、本学は、昭和二十六年に開学いたしました。今年は創立七十三年目となります。この間、一万五千名弱の卒業生が様々な場所で活躍していらっしゃいます。聖和学園のブランドと、「短期大学士」という学位を胸に刻みながら活躍していることでしょう。

 本学の建学の精神は、「慈悲」「和」「智慧」の三つです。「慈悲」とは、自分と他者を大切に慈しむ心です。「和」とは、人がお互いに支えあい協力し合う心です。「智慧」とは、物事の善悪を見抜こうとする心です。現在は、インターネットやSNSなどを通して、多くの情報に触れることができます。その内容を取捨選択することも「智慧」の教えです。この三つの教えを通して、人間教育を学び、地域社会に貢献する有能な人材を育てることを建学の精神としています。

 なお、本学は、仏教系の大学の多くが、いずれかの宗派に属しているのに対して、いずれの宗派にも属しておりません。

 これまで皆さんは、東日本大震災、コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ戦争、 最近では能登半島地震など、様々な自然災害、戦争、事件や事故の場面を体験したり見聞きしたことと思われます。その度ごとに、「人の幸せは何だろう」と考えたり、「困っている人を何とか助けたい」という気持ちを抱くはずです。

 本学には「奉仕」の気持ち、「人の役に立ちたい」という思いを持っている学生が多くいます。人の幸せや困りごとに寄り添う感性を持ち、そのための知識や技術を磨くことは、まさに、「慈悲」「和」「智慧」の三つを大切にする建学の精神を具現化することになります。

 明日からはガイダンスが始まり、来週からは新学期の授業が始まります。これから『人間と仏教』などの授業を通して、建学の精神についても、より深く学んでいくことになるでしょう。

 本学には、「保育学科」と「キャリア開発総合学科」があります。保育学科に入学された皆さんは、乳幼児期や児童期の子供の成長発達にとって、とても重要な時期に携わるという高い専門性と責任感のある仕事を選択されたのだと、心強く思っております。一方、キャリア開発総合学科に入学された皆さんは、多彩な資格を取得することで、自分の進路選択の可能性をより広く高めていくことでしょう。私たち教職員は、少人数指導を活かし、一人一人、決め細やかに対応します。「聖和学園短期大学を選択して良かった」と思えるように、皆さんを全力で支えますので安心してください。

 現在は多様性の時代と言われ、障害があるなしに関わらず、人間として尊重され、人種や性的差別のない人間社会を実現していくとともに、一方で、不遇な家庭生活を強いられ、様々な生活上の課題を抱えている人達もいます。

 しかし、皆さんには、そのような人たちに対しても、共に一緒に生きていこうといった共生社会を支え、実現していく「担い手」であることを期待しています。

 青春真っただ中の二年間、自分自身を見つめ、社会人として出発するための知識と技術を身につけ、感性を磨いていただきたいと願います。きっとこの二年間で、皆さんの夢や目標が見付けられると信じています。ともに学ぶ仲間はもちろんのこと、皆さんを支えてくださっているご家族の方、様々な面で支援してくださる本学の教職員に対して、敬意をもって接していきましょう。

 最後に、健康で充実した二年間になることを祈って、皆さんをお迎えする「式辞」といたします。

令和六年四月二日
聖和学園短期大学 学長  三浦 光哉